夜長月に楽しむ読書――親子で言葉をたどってみませんか?
2026年9月17日
コラムをお読みいただき、ありがとうございます。
未来創造ろんり教室の山本です。
9月に入り、日中はまだ暑さが残るものの、
夜風に少しずつ秋の気配を感じる頃となりました。
9月の別名である「長月(ながつき)」は、
夜が長くなる「夜長月(よながつき)」が縮まったものという説があります。
少しずつ長くなる夜を、皆さまはどのように過ごされますか。
秋といえば、「読書の秋」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
その由来としてよく紹介されるのが、
中国の文人・韓愈(かんゆ)の「灯火親しむべし」という言葉です。
涼しくなった秋の夜は、灯りのもとで本を読むのにふさわしい、という意味が込められています。
先月は、お子さまが「面白い」と感じる本を入り口に、読む楽しさに出会うことをご紹介しました。
今回は、本を楽しむ中で、文章の読み方にも少し目を向けてみたいと思います。
■ 出口先生と考える、文章の読み方
「本は読んでいるのに、国語の問題になると難しいみたいです。」
「記述問題では、何を書けばよいか分からなくなるようです。」
お子さまの様子を見て、こんな疑問を感じることはありませんか。
当教室の塾長である出口汪は、国語が苦手になる理由を、次の4つに整理しています。
① 自分の意識で文章を読んでしまう
② 頭の中が整理できない
③ 記述式が得点できない
④ 物語文・小説の解き方が分からない
こうして並べると、別々の悩みに見えますよね。
けれども、出口先生の考えをたどると、どれも「文章をどう読むか」とつながっています。
例えば、文章を読んでいる途中で、
「きっと、こういうことだろう」と思ったことはありませんか。
私たち大人にもあることだと思います。
そんな時、少し立ち止まって、
「筆者は、何を伝えようとしているのかな?」
と、文章へ目を戻してみます。
「たとえば」の後には、筆者の考えを説明する具体例があるかもしれません。
「しかし」の後には、反対の意見と対立する主張が続くかもしれません。
「なぜなら」の後には、その考えを支える理由がありそうです。
「それ」が何を指しているのか、前の文を読み返してみることもできます。
筆者はどんな問いを立て、どんな答えを示しているのか。
主張を具体例で言い換えているのか、
反対の意見と比べているのか、
それとも理由を説明しているのか。
こうした話の筋道をたどるのが、出口先生の伝える「論理的な読み方」です。
自分の思い込みから少し離れ、筆者の筋道に沿って読むことで、
頭の中の情報も整理しやすくなります。
では、記述問題はどうでしょうか。
何を書けばよいか分からないと、つい「書く練習を増やした方がよいのかな」と考えますよね。
出口先生は、まず文章の内容を読み取れているかに目を向けています。
内容を理解し、頭の中で整理できれば、
問いに対して「こういうことです。なぜなら……」と説明しやすくなります。
その説明を文章にすることが、記述への対策にもつながるのです。
■ 物語の登場人物は、どんな気持ち?
物語を読んでいると、登場人物に自分を重ねることがありますよね。
それも、読書の楽しさの一つだと思います。
ただ、登場人物の気持ちを読み取る時には、
「自分だったらどう感じるか」と「この人物はどう感じているか」を、
少し分けて考えてみたいところです。
特に試験では、長い小説の途中の一場面だけが出されることがあります。
そこで出口先生が大切にしているのが、
その場面に書かれた動作、セリフ、情景描写の言葉です。
例えば、登場人物が「うつむいた」と書かれていたら、
どんな気持ちを想像するでしょうか。
悲しさでしょうか。恥ずかしさでしょうか。
それとも、何かを言い出せずにいるのでしょうか。
その前に何が起きたのか、どんな言葉を交わしたのかも読むと、
心情を考える手掛かりが見えてきそうです。
ご家庭でも、気になった場面について、
「この子は、どんな気持ちだったと思う?」「どの言葉から、そう感じた?」
と、親子で話してみてはいかがでしょうか。
文章の言葉を丁寧に受け取り、自分の考えに理由を添える。
こうした経験は、学校の学習や受験を支えるとともに、
日々の会話で相手を理解し、自分の考えを伝えることにもつながります。
少しずつ長くなる秋の夜。
お気に入りの一冊を囲んで、親子で言葉をたどる時間を楽しんでいただければ幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
未来創造ろんり教室
教務部長 山本