「五月雨」と「水無月」の意味はご存知でしょうか?
2025年6月1日
今回もコラムを読んでいただきありがとうございます。東京では、最近曇り空が続き、雨が降ったり止んだりする日が
多いですね。もうすぐ本州では、本格的な梅雨の時期に入ります。この時期は、気分が優れないと感じる方もいらっしゃる
かもしれません。晴れ晴れしない天気が続くことで、私たちの心持ちも影響を受けるのは、小説の情景描写からも分かる
通り、人の気持ちと天気が密接に関連している証拠でしょう 。
さて、ビジネスメールで「五月雨式に失礼いたします。」という一文を見かけることが
あります。先方に対して失礼のないように、追加でメールをする際に使う表現です。この表現にある「五月雨」を、私はてっきり5月に立て続けに降る雨だと誤解していました。実は、「五月雨」の「五月」は、月の満ち欠けを基準とした旧暦の5月、つまり現代の6月頃を表します。
したがって、「五月雨」とは、6月の梅雨の時期に断続的に降る雨のことなのですね。ちなみに、
この6月頃に青い梅の実が熟すことから「梅雨」という言葉が生まれたと言われています。
ところで、6月の別名を「水無月」と呼ぶことはご存知でしょうか。中学校の国語の時間に習った記憶がある方も
いらっしゃるかもしれません。この呼び名について、不思議に思いませんか。上記の通り、6月は梅雨の時期なので、多くの
雨が降ります。しかし、なぜ「水の無い月」と呼ばれるのでしょうか。実は、「水無月」が示す6月は、旧暦の6月、つまり現代の7月頃なのです。7月は、梅雨が明け、日光がさんさんと降り注ぐ時期です。この時期の水田を想像してみてください。梅雨のおかげでたっぷりと溜まった水量が、7月の直射日光の影響で徐々に減っていく様子から、昔の人は今の7月頃を「水無月」と呼んだと言われています。
このように、「五月雨」や「水無月」は、旧暦を基に作られた言葉だと分かりました。普段何気なく使用している言葉の由来を調べてみると、昔の人々の知恵にたどり着きます。その叡智の
結晶が言葉であると実感すれば、言葉の重みに気づき、より丁寧に言葉を使っていかなければならないと、改めて自分に言い聞かせます。最後まで読んでいただきありがとうございました。