今年の干支(えと)は?
2025年1月12日
新年明けましておめでとうございます。
今年も日常生活に彩りを加えるようなコラムをお届けいたします。
さて、今年の干支(えと)は何でしょうか?きっと多くの方が巳年(みどし・へびどし)だとお答えになるでしょう。しかし正確に言うと、今年の干支は乙巳(きのとみ)です。なぜかと言うと、干支は十二支(じゅうにし)と十干(じっかん)を組み合わせたもので、今年の十二支は巳、十干は乙なので、それらを合わせた乙巳が今年の干支となるからです。
では、乙巳の今年はどんな年になるのでしょうか。それを考察するには、干支の由来である陰陽五行説という古代中国の考えに触れる必要があります。陰陽五行説とは、すべての物事を「陰•陽」、「木•火•土•金•水」の五行の働きに関連させて解釈する考えです。古代中国人はこの陰陽五行説を基に、個別の年と日には独自の時間の性質があると考え、十干と十二支を創造しました。両者の共通点は、植物の一生を時間の流れに見立てるところです。一方、違いについては、十干は10日単位、10年単位に物事が循環するのに対し、十二支は12日単位、12年単位に物事が循環する点です。これら両者が組み合わさり、60日単位、60年単位に一巡する干支が誕生しました。
干支の由来が分かった所で、乙巳の意味を乙と巳に分けて考えましょう。まず十干の乙という漢字は、「軋る(きしる)」という意味を表し、若い芽が伸びる前の曲がった状態を表すそうです。次に、十二支の巳という漢字は、「已む(やむ)」を表し、草木の成長が終わり、繁茂している状態を表すそうです。このことから、乙巳は今までの努力が実を結ぶことを意味すると言われています。さらに、巳年の巳は「み」と読みますので、実(み)を結ぶ年に今年はなるのではないでしょうか。
歴史を振り返ると、聖徳太子の死後、政治の実権を長く握っていた蘇我氏を、645年に中大兄皇子と中臣鎌足が滅ばした乙巳(いっし)の変は、まさに乙巳(きのとみ)の年に起こりました。このクーデター後、中大兄皇子を中心に、日本は中国(当時は唐)の法である律令に倣って、律令制度を政治に取り入れました。この政治改革を大化の改新と言います。ちなみに、この大化が日本最初の元号です。
また、この前の乙巳の年である1965年は、中国で文化大革命が始まった年だと言われています。このように、乙巳の年は何か革命的な出来事が起こる年なのかもしれません。
このコラムをお読みの貴方には、これまでの努力が報われ、素敵な『巳(み)』が結ばれる一年になっていただければと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。