11月の神社行事に隠された「自立の法則」

2025年11月9日

今回もコラムを読んでいただきありがとうございます。

11月になると、七五三や酉の市といった神社行事がありますが、

どうして11にこれらの行事が行われるのでしょうか?

この問いは、一見バラバラに見える日本の風習の裏に、

一つの明確な筋道が通っていることを教えてくれます。

11月は古くから「霜月(しもつき)」と呼ばれ、霜が降り、農耕が完全に終了し、

自然のサイクルが休止する節目です。

この時期の行事を帰納的思考で分析し、その共通する論理を探りましょう。

 

観察された三つの事象と隠れた筋道

帰納法は、個別の事象を観察し、共通法則を導き出す思考法です。

・七五三(子どもの加入)

由来と説明: 平安時代に遡り、子どもの成長儀式に由来します。

特に7歳は、かつて「七つ前は神様のうち」とされ、

神の庇護下から離れ、

土地の正式な一員(氏子)となる節目を祝います。

筋道: 自然の力に頼る時期が終わり、次世代を「人の社会」へ引き継ぐ

 

酉の市(経済の再起動)

由来と説明: 鷲(おおとり)神社をはじめ、特定の祭神を祀る複数の神社で、

11月の酉の日に行われる祭礼の総称です。

この「酉の日」とは、かつて日本で使われていた日付の数え方(十二支)のうち、

11月にある「酉」に当たる日のことです。

翌年の幸運を「かき集める」縁起物の熊手を買い、経済活動の成功を祈願します。

筋道: 自然の恵みから切り替えて、人間が主体的に経済活動を再起動する。

 

・霜月という時期(神の区切り)

事実: 霜が降り、田畑の神様の役割が一旦区切られる。

筋道: 神の守りが薄くなる時期に、人間自身が行動を起こす。

 

帰納的思考で導かれる共通の法則

これらの事象を統合すると、驚くべき共通の法則が浮かび上がります。

共通の法則(結論): 「自然の収穫と神の役割が完全に区切りを迎える霜月(11月)は、

人間社会が『次世代の育成』と『経済的な準備』という社会的営みを、

神頼みから 自立した主体の活動 へと確立し直す、年の瀬の重要な節目である

一見、子どもの成長儀式と商売の縁起物が何の関連もないように見えますが、

その背後には「自然の支配が終わり、人間の自立が始まる」という、

一つの太い論理の筋道が通っていました。

この筋道を見抜く力こそが、一見バラバラに見える事象を結びつけ、

物事の本質を読み解く帰納的思考力です。

私たちは、伝統的な風習を通して、先人たちがどれほど論理を駆使し、

今に至る社会を築いてきたかを学ぶことができるのです。

最後までお読みいただきありがとうございました。