なぜ蛇は縁起が良いのか?
2025年1月26日
今回もコラムを読んでいただきありがとうございます。
前回のコラムで、十二支について解説しましたが、覚えていますでしょうか?
古代中国発祥の、時間の流れを表す十二支は、植物の一生を基に創られました。今年の巳年(みどし•へびどし)の「巳」は、植物が繁茂している状態を表すと解説しましたね。
そもそも「巳」には、蛇(へび)の意味は無かったそうです。では、なぜ巳に蛇という意味が付け加えられたのでしょうか?それは、当時知識人たちにしか馴染みが無かった十二支を、一般の人々に広めるために、身近な動物を十二支に結びつけたからだとされています。そこで、当時山野でよく見られた蛇を「巳」と関連づけたそうです。
さて、蛇は金運アップの象徴と言われるなど、縁起の良い生き物だとされています。その由来をご存知でしょうか?
諸説ありますが、日本と中国、インドの蛇信仰をご紹介します。
まず、日本の蛇信仰については、今から一万年以上前の旧石器時代まで遡ります。当時、古代日本人は飲み水がないと生きていけなかったので、川や湖、泉の近くに住んでいました。その水辺で、体が細長く、四肢がないにも関わらず、素早く獲物を丸呑みしたり、脱皮したりする蛇を見かけた彼らは、蛇を水の神として崇めたそうです。また、稲作が行われるようになった弥生時代には、蛇は米倉を荒らす鼠を退治してくれるので、穀物神として崇拝されたとも言われています。
次に、中国の蛇信仰については、古代日本人と同様に蛇の生態を見て、人知を超えた知恵を蛇は持っているのではないかと、古代中国人は感じたそうです。そこから、蛇は魔除けの力を持つと信じられてきました。ただ日本と違い、中国では、蛇をそこまで神格化しなかったそうです。
最後に、インドの蛇信仰については、古代インドの河を守る女神とされた弁財天が蛇の姿をしている、という考えがあったそうです。弁財天は、財運や芸術、学問など様々なご利益がある神様とされ、七福神の一つとして、今でも崇められています。
このように、蛇は古代から神聖な生き物として捉えられていたことが分かりましたね。蛇など身近なものに何らかの意味付けをすることで、人間は昔からより善く生きようとしてきたのではないかと思われます。意味付けは、幾多の自然の脅威にさらされながらも、耐え抜いてきた人間が生み出した知恵なのではないでしょうか。最後までお読みいただきありがとうございました。