熟語との付き合い方
2024年9月14日
今回もコラムを読んでいただきありがとうございます。
もうすぐで、「中秋の名月」を迎えます。今年は、9月17日だそうです。この日が、一年で最も美しい満月が見られるとされています。中秋とは、旧暦の秋の時期にあたる7月から9月までの真ん中の日である8月15日を指します。つまり、秋の真ん中だということです。また、名月とは、曇りがない澄んだ夜空に輝く月です。この月が、千年以上も昔から、一年で最も美しいとされていたのですね。まさに、名の知れた月です。
「中秋」と「名月」のように、普段聞き慣れない熟語に出逢った時、あなたはその熟語をすぐスマホで調べようとしますか。それとも、一度どういう意味なのかご自身で考えますか。この些細な2択のどちらかを選ぶかで、あなたの人生が変わってしまいます。と言うと、大袈裟に聞こえてしまいますね。しかし、すぐ調べてしまう習慣がある人と、自分でまず考える習慣がある人とでは、語彙力や思考力で大きな差が生まれます。
すぐ熟語を調べてしまう傾向のある人は、それを分かったつもりになってしまい、数日後には忘れてしまいます。きっとこのコラムをお読みのあなたもそのような経験があることでしょう。忘れてしまう原因は、すぐ調べる行為は頭を使っていないため、長期記憶として頭にその熟語が残らないことが考えられます。
一方、自分で考える人は頭を使っているので、新しい熟語が長期記憶として頭に残ります。では、どのように初めての熟語の意味を考えたら良いのでしょうか。それは、既知の単漢字や文脈から未知の熟語の意味を推測し、本来の意味と擦り合わせることをお勧めいたします。そうすることで、長期記憶として新しい熟語を覚え、語彙力が向上するだけでなく、思考力も同時に磨かれます。
最近、私は、「~は鷹揚に記者からの厳しい質問に答えた。」というニュースを聞きました。鷹揚(おうよう)という初めての熟語を聞いた時に、すぐスマホで調べようとしました。しかし、それだと長期記憶として習熟しないので、まずは単漢字に分け、それぞれの訓読みから鷹揚を考えました。鷹は訓読みで「たか」、楊は訓読みで「あーがる」。まるでタカが空にゆったりと揚がっているように、余裕のある態度が鷹揚だと考えることが出来ました。その後、国語辞典の大辞林で調べると、その意味は、「ゆったりと振る舞う、余裕のある様子」でした。なんだか、鷹揚を習熟した気分になりました。
このように、未知の難しい熟語に出くわしたら、まずは分かる単漢字の訓読みから、その熟語の意味を思考することが大切だと実感します。そうすることで、語彙力と思考力が同時に養われ、その結果、教養が身に付き、より豊かな人生を過ごせるのではないでしょうか。ぜひこの熟語の学び方を応用(おうよう)されてみてはいかがでしょうか。最後まで読んでいただきありがとうございました。