読書の夜長月(よながつき)

2024年9月6日

 今回もコラムを読んでいただきありがとうございます。

 日中は依然暑いですが、涼しい夜風を感じる時期になりました。ようやく秋の季節がやってきたのではないでしょうか。秋は、暦の上では、立秋8/7頃)から立冬11/7頃)までの期間を指します。秋は、稲作中心の生活を送っていた昔の日本人にとって、特に大切な時期でした。なぜなら、稲を十分に収穫できるかで、その年が実りある一年になるか決まるからです。昔から台風が上陸するこの時期に、安全に農作物を収穫できるために、台風の被害を避ける「風祭り」という行事が日本各地で行われていたそうです。

 さて、現代の日本人にとって、秋といえば何でしょうか。きっと多くの方が、「読書の秋」と答えるでしょう。その由来を調べると、今から1200年以上前に中国で活躍した文人の韓愈(かんゆ)が記した「灯火親しむべし」だそうです。その意味は、涼しくなった秋の夜は、灯のもとで読書をするのが良いということです。つまり、これから長くなる涼しい夜の時間を有意義に過ごすには、読書が良いと先人は教えているわけですね。ちなみに、9月が長月(ながつき)と言われるのは、夜が長くなる月だからと言われています。

 このように、秋が読書にふさわしい季節だとお分かりいただけたかと思います。このコラムを読んでいらっしゃるあなたは、きっとこれまで多くの本を読んでこられたかと思います。ただ果たして、それらの本を客観的に読解することができたと断言できるでしょうか。そう断言できる方は、なかなか多くはないと思います。

 では、どうしたら客観的に読解できるのでしょうか。その答えは、論理的に読むことです。つまり、筆者の立てた筋道を追う読み方をすれば、主観を入れずに読解することが可能となります。たとえば、評論文の場合、筆者の主張を理解するために、接続語問題提起具体例の前後の3つのポイントを意識することが大切になります。特に筆者の主張は、接続語の「つまり」や「だから」、「しかし」の後にくることが多いです。また、小説の場合、登場人物の心情を正確に把握するために、台詞動作風景描写の3つのポイントを確認することが重要です。

 これから、過ごしやすい夜の時間が増えます。そんな長い夜の時間を、読書を通じて有意義に過ごされたい方は、ぜひ上記のポイントを意識した論理的な読み方をされてみてはいかがでしょうか。お子様がいらっしゃれば、親子で本を読んでみるのもいいですね。最後まで読んでいただきありがとうございました。