「台風の目」とは?
2024年8月17日
今回もコラムを読んでいただきありがとうございます。
皆さん、お盆休みは楽しく過ごせましたでしょうか。家族で集まり、ご先祖様の供養をされたかと思います。お盆明けの日常生活に向けて、気持ちを入れ替えようとした矢先に、台風7号が日本列島に接近しました。その影響で、8月16日は多くの交通機関で運休や遅延が発生しました。そのため、お盆休みの予定を泣く泣く変更された方がとても多いのではないでしょうか。
さて、台風と言えば、猛烈な暴風雨を連想しますが、晴れ間が差す時がありますよね。その瞬間は、台風の目に入っている時です。発達した積乱雲により構成された台風は、渦を巻きながら移動しています。この渦の中心付近は雲が少なく、雨や風が弱まり、一時的に晴れます。なぜ、晴れをもたらす台風の目ができるのか。日本気象協会によると、日本が位置する北半球では、地上付近の台風の風は、反時計回りに中心に向かって吹きこんでいるそうです。その中心に向かって吹く風は、遠心力の影響でこれ以上中心へは行けないので、台風の中心部分にぽっかりと穴が出来るとされています。そして、その穴の部分(台風の目)に、下降気流が発生することで、上空に青空が広がるそうです。
台風の周辺では激しい暴風雨が見られるが、その中心は晴れ晴れしている。まるで、自身の周りをかき乱せる強烈な力を持った人が台風の中心にいるようですよね。そんな様子から、「台風の目」は、激動する物事の中心にいて、それを引き起こす影響力のある人物を表す言葉になったと言われています。例文として、「彼はこの選挙の台風の目となるだろう。」が挙げられます。この言葉には、これまでの既存勢力を打ち破るようなポジティブな意味合いが込められています。
一方、同じ渦でも、水由来の「渦中」という言葉には、ネガティブな意味が込められています。例えば、「彼は、政争の渦中に巻き込まれた。」という文です。政争とは政治に関連した争いですから、あまり良くないイメージですよね。
このように、風の渦由来の「台風の目」も、水の渦由来の「渦中の人」も、世間の注目を浴びる言葉として使用されますが、込められている意味が対照的なのですね。日本語には同じような意味を持つ類義語が多くあります。しかし、それぞれには微妙に異なる意味合いが込められていることを知ると、日本語の繊細さと奥深さを実感しますね。最後まで読んでいただきありがとうございました。