五月雨って、五月の雨ではない!?
2024年6月1日
今回もコラムを読んでいただきありがとうございます。
東京の最近の天気は曇り気味で、雨が降ったり止んだりします。もうすぐ本州では、梅雨の時期に入りますね。この時期は、気分が優れたり優れなかったりします。きっと、晴れ晴れしない天気が続くからでしょうか。小説で用いられる情景描写からも分かる通り、人の気持ちと天気は密接に関連しているわけですね。
さて、ビジネスメールで「五月雨式に失礼いたします。」という一文をよく見かけることはないでしょうか。先方に対して失礼のないように、追加でメールをする際に使う表現ですよね。この表現にある五月雨を、5月に立て続けに降る雨だと私は誤解していました。実は五月雨の5月は、月の満ち欠けを基準とした旧暦の5月、つまり現代の6月頃を表しています。したがって、五月雨とは、6月の梅雨の時期に断続的に降る雨のことなのですね。ちなみに、この6月頃に青い梅の実が熟すので、「梅雨」という言葉が生まれたそうです。
ところで、6月の別名を何と言うかご存知でしょうか。
答えは、水無月です。きっと、中学校の国語の時間に先生から教わったことでしょう。この呼び名について、何か不思議に思いませんか。上記の通り、6月は梅雨の時期ですので、多くの雨がたくさん降りますよね。しかしどうして、6月が水の無い月と呼ばれるのでしょうか。
実は水無月が示す6月は、旧暦の6月、つまり現代の7月頃なのです。7月は、梅雨が明け、日光がさんさんと降り注いでいる時期です。この時期の水田を想像してください。梅雨のおかげでたくさん溜まった水量が、7月の直射日光の影響で徐々に減っていくわけです。その様子から、昔の人は今の7月頃を水無月と呼んだと言われています。
このように、五月雨や水無月は、旧暦を基に作られた言葉だと分かりました。普段何気なく使用している言葉について、由来を調べてみると、昔の人たちの知恵に辿り着きます。その昔の人々の叡智の結晶が言葉であると実感すれば、言葉の重みに気付き、より丁寧に言葉を使っていかなければなりませんね。そう自分に言い聞かせます。最後まで読んでいただきありがとうございました。